2016年09月23日

アスレティックセラピスト・トレーナー教本と言ったらこれ

本日紹介するのは、"Foundations of Athletic Training" と言うテキストブックです。この本は、私がアスレティックセラピストの学生時代にかなりお世話になった本の一つで、アスレティックセラピストまたアスレティックトレーナーとして知っておくべきことがすべて詰まっています。アスレティックトレーナーの役割から始まり、ヘルメットなどの運動器具の適切な装着方法、テーピング、怪我の評価とマネジメント、物理療法、内科疾患、薬、脳障害、神経障害、障害者の搬送など、必要な基礎知識を網羅します。私がこの本を気に入った理由は、非常に読みやすく書かれていますし、内容も適度に深すぎず、浅すぎず書かれているため、勉強したての学生時代は非常に勉強しやすかったです。どちらかと言うと、学生向けののテキストブックと言った感じです。

今、トレーナーの勉強を始めたばかりの学生さんや、試験に向けて勉強中の学生さんなど、幅広い方に役立つ本だと思います。

Foundations of Athletic Training: Prevention, Assessment, and Management -
Foundations of Athletic Training: Prevention, Assessment, and Management -
posted by アライグマ at 11:30| バンクーバー ☀| Comment(1) | 書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月04日

長期的治療が必要なFrozen Shoulder

今日紹介するのは、改善するのに1−2年間もかかりうる癒着性関節包炎です。英語の正式名はAdhesive Capsulitisで通称Frozen Shoulderと呼ばれます。外傷の後に起こることもあれば、長期間の固定後また、特に何の理由もなしに起こることもあるようです。クリニックに受診する患者さんで癒着性関節包炎と診断されるのは圧倒的に女性が多く、年代も30−50代に非常に多く見受けられます。特に、糖尿病持ちの患者さんには発症しやすいようで、治癒の速さもそうでない人に比べて長いようです。

ここで一つ例を紹介しましょう。
55歳女性。今年の2月に雪の上で滑って転倒し、その際に右手で着地。すぐさま痛みを発症するとともに、腕を持ち上げることが不可能に。2週間経っても痛みが治まらないため、医療機関を受診。レントゲンは異常なく、リハビリを始めるようにと指示を受ける。週2回のリハビリを何ヶ月か続け、急性的な鋭い痛みは改善したが、安静時の鈍痛や、可動域制限は自動、他動ともにほぼ改善なし。その後オーダーされたMRIでは、棘上筋、棘下筋の完全断裂が見受けられ、うちのクリニックを受診するように指示を受ける。

クリニカル評価
主訴
−慢性的な痛みを肩全体に訴える
−腕を自力で持ち上げることは不可能
−夜寝る際に、右肩に体重を載せることは不可能
−髪を洗ったり、背中に手を伸ばしたりすることは可動域制限により不可

自動可動域
ー屈曲80度(健側 160度)
ー外転80度(健側 170度)
ー中間位での外旋 20度(健側 70度)
ーアプレースクラッチテスト (Apley Scratch test):内旋ー右臀部(健側 胸椎11番)、外旋ー右耳(健側 胸椎2番)

他動可動域
ー屈曲90度(健側 165度)
ー外転90度(健側 175度)
ー中間位での外旋 25度(健側 75度)
ー肩甲上腕関節 外転 60度(健側 90度)

筋力
ー棘上筋:3+/5
ー棘下筋:4/5
ー肩甲下筋:5/5

ーX-rays:特に異常無し

上記の評価内容とMRIを照らし合わせた結果、重度の腱板損傷と診断されるとともに、多動関節可動域の制限が非常に大きいことから、癒着性関節包炎とも診断されました。

通常、癒着性関節包炎がある状態での腱板修復術は望めないため、まず可動域を正常に戻すための治療を行う必要があります。我々のクリニックでは、慢性的な癒着性関節包炎に対して、X線透視下でのコルチゾン注射を行うことが非常に多く予後もいいように思います。肩甲上腕関節内注射し、関節内の炎症を和らげ、癒着を改善させるとともに、その後セラピストの元で多動関節運動にフォーカスをおいてリハビリを行います。

この患者の場合、注射4週間後のフォローアップでは、自動・多動関節可動域が健側の90%近くまで改善し、日常生活における痛みはほぼなくなったようです。残念ながら、棘上筋と棘下筋の筋力はほとんど改善されていないため、患者の年齢を考慮すると腱板修復手術が必要になりそうです。
posted by アライグマ at 12:32| バンクーバー ☀| Comment(0) | 一般的な怪我紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月22日

いよいよ国家試験

いよいよ11月の下旬となり、認定アスレティックセラピストになるための国家試験の日となりました。国家試験は年2回、6月と11月に開催されます。6月はカルガリーとトロントで、11月はウィニペグとモントリオールの2つ都市で開催され、開催地は自分で選択することができます。私の場合は、11月の試験ですので、カルガリーから近いウィニペグでの試験に応募しました。近いと言ってもウィニペグまで飛行機で3時間、試験が2日間に渡って行われるため、2泊3日の滞在となります。

試験初日は、筆記試験です。問題は、予防、評価、治療、リハビリテーション、組織、そして教育の6つのカテゴリーの中から基礎サイエンス、行動学、応用科学、経営学、理論と研究を元にバランスよく出題されます。問題数は200題、制限時間3時間で行われます。私の場合、英語が母国語でないため、試験時間を延長してもらう手続きを行いましたが、3時間で十分だったなという印象です。

2日目はいよいよ実技試験です。クリニカル試験とフィールド試験の2グループに分けられ、片方が終わり次第、残りの試験を行う形となります。
私の場合、フィールド試験が始めでした。まず試験前に5分間与えられ、必要な用具や機器の確認、自分自身の救急バッグをセットアップする時間に費やします。例えば、酸素ボンベは、緊急時にすぐに使えるように、バルブを開けてマスクに繋いでおく必要がありますし、アシスタントが運びやすいように、オーガナイズする必要があります。

それが終わると、試験開始です。試験中は、モデル、アシスタント、試験管二人の4人から構成されており、その4人が試験の採点を行うことになります。試験は、まず部屋にはいるとシナリオが書かれた紙を渡され、それを音読します。その後、一旦部屋を出るように促され、部屋に戻ると即シナリオが始まるという流れになっています。シナリオはサイドラインでの評価並びに競技復帰の決定、救急内科疾患また、外傷の対応と、患者の搬送から成り立ちます。

フィールド試験が終わると軽い休憩を挟んですぐさま、クリニック試験に移行します。クリニック試験は評価とリハビリテーションの二項目からなり、それぞれ準備時間5分、試験時間25分間を与えられます。フィールド試験のように、部屋に入るとシナリオを音読するように促され、その後5分間を使って、自分でノートを使ってメモを取りながらどのように進めるかを考えることができます。評価試験では、問診から、視診、触診、スペシャルテストを用いて、どのような障害あるいは外傷を選手が訴えているかを導き出せることが求められます。 リハビリテーション試験では、与えられたシナリオに基づいて、安全にしかも回復期に合わせて効果的にリハビリテーションプランを立てることが求められます。この試験中には特定の物理療法を指定されるため、その、適応/禁忌並びにその効果を適切に説明できる必要があります。

フィールド試験並びにクリニック試験のどちらにも共通して求められることは、試験中は自分が実際に見ているもの、やっていること、これからどうするかなどを全て口に出して説明しなければいけないということです。ここが、実技試験を行う上で最も大変な部分だと思いますが、試験官は、受験者が口に出して説明しない限り、何に基づいて何をしているのかが全くわかりませんので、いらない減点をもらわないために、言い過ぎると思うくらいに口にした方が安全でしょう。

筆記、フィールド試験、クリニック試験はそれぞれ分かれたカテゴリーで採点され、Canadian Athletic Therapists Association公認のAthletic Therapistに成るには全てのカテゴリーをパスすることが求められます。万が一、不合格だった場合には、次回そのカテゴリーのみを受け直すことができます。

試験結果が出るクリスマス時期は全く心が落ち着かなかったことを覚えていますね。試験結果はメールで通知され、一緒に勉強して、同じ時期に試験を受けた仲間たちは皆無事に合格となりました。ここからは本格的な就活活動となりますが、カナダに残って働くことの大変さを思い知ることになります。
posted by アライグマ at 12:44| バンクーバー ☁| Comment(0) | 留学日記(過去) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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